遺言書がなく、特別受益や寄与分で問題となった事案
- cases529
- 2019年05月24日更新
- 男性
- 特別受益
- 寄与分
- ■被相続人との関係 被相続人の息子(次男)
- ■相続人 依頼者、兄
- 相続財産 土地建物5000万円相当・預金5000万円
ご相談内容
Bさんは、亡くなった父(Aさん)の遺産のことでベリーベスト法律事務所に相談しました。
Aさんの相続人は、Bさんの他、Bさんの兄であるCさんがいます。Aさんの遺産には、土地建物(5000万円相当)、預金5000万円があります。
父であるAさんは、Bさんの結婚当時、自宅の建築資金として1500万円ほどを援助していました。Cさんは特に大学に行かずに、Aさんの経営していた呉服家業を引き継ぎました。
Aさんは遺言書を残していませんでした。そこで、Bさんは、遺産のことを兄弟で話し合ったところ、兄のCさんは「俺が長男で呉服家業を行ってきたのだから俺が相続する。お前は、生前から父から多額のお金を受取って甘やかされていただろう。それでもう十分だ。」との一点張りでした。Bさんは、兄のCさんとの遺産分割協議に耐えかねて、どうすればよいかわからないということでベリーベスト法律事務所に相談にきました。
ベリーベストの対応とその結果
遺産分割に関する事情を弁護士が聞くと、Bさんは、「確かに、兄には家業を継いでもらった点では感謝しています。しかし、兄は代表取締役として十分な報酬を得ていました。一方、兄は父に対して金銭的な援助をしていたということもありません。むしろ、父からは『兄の生活費を一部負担してやっている』と聞いていました。」と弁護士に相談してくれました。
Aさんの相談に対して弁護士は、まず、「特別受益と寄与分が問題になりそうですね」と問題点を指摘しました。
「特別受益とは、相続人が、亡くなった被相続人から特別な生前贈与や遺贈を受けているときの利益をいいます。特別受益があるときは、その利益分を持ち戻したものを相続財産とみなします。
また、特別受益を受けた者は、その者の本来の相続分の中から遺贈や贈与された分を控除した残額をもって相続分を計算します。
寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の事業に貢献するなどして、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献した場合に、この寄与を遺産分割において考慮し、修正を加える制度です。この場合、まず、被相続人が相続開始の時にもっていた財産の価額から、寄与分を控除したものを相続財産とみなします。そして、寄与分がある者の相続分は、相続分に寄与分を加えた額とします。」と説明しました。
Bさんは「私たちが受けた援助が特別受益に該当するとしても、兄の寄与分はそんなに簡単に認められるのですか?」と質問しました。
弁護士は、「どのように寄与したのかという態様にもよりますが、寄与分といえるためには、①寄与行為の存在によって、被相続人の財産の維持又は増加があること、②寄与行為が『特別の』寄与といえることが必要です。
お兄さんは、事業に貢献してきてはいるもので①寄与行為の存在はあるかもしれませんが、代表取締役として正当な対価をこれまで得ているのですから、②『特別の』寄与であるとはいえず、現時点で分かっている内容からすれば、裁判所が寄与を簡単に認めるというような事案ではないと思います。」と回答しました。
弁護士は、Bさんの代理人として、弁護士の名前で、お兄さんのCさんに対して内容証明郵便を送付し、交渉を開始しました。
それに対して、Cさんは寄与分を定める審判を申立ててきました。しかしながら、裁判所は最終的にCさんの主張は認めませんでした。
また、弁護士がAさんの遺産について調査したところ、AさんはCさんに対し、生前に1500万円を贈与していたことが判明しました。
その結果、特別受益はそれぞれ1500万円ずつあるということで、特別受益について大きな争点とはならずに話し合いを進めることとなりました。
弁護士は、Cさんと遺産分割協議を行い、最終的にAさんの遺産のうち、預金をBさん、土地建物をCさんが譲り受けることで遺産分割協議を行うことができました。
【関連記事】
弟の寄与分に対して兄が遺留分を主張! どのように解決していく?
Aさんの相談に対して弁護士は、まず、「特別受益と寄与分が問題になりそうですね」と問題点を指摘しました。
「特別受益とは、相続人が、亡くなった被相続人から特別な生前贈与や遺贈を受けているときの利益をいいます。特別受益があるときは、その利益分を持ち戻したものを相続財産とみなします。
また、特別受益を受けた者は、その者の本来の相続分の中から遺贈や贈与された分を控除した残額をもって相続分を計算します。
寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の事業に貢献するなどして、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献した場合に、この寄与を遺産分割において考慮し、修正を加える制度です。この場合、まず、被相続人が相続開始の時にもっていた財産の価額から、寄与分を控除したものを相続財産とみなします。そして、寄与分がある者の相続分は、相続分に寄与分を加えた額とします。」と説明しました。
Bさんは「私たちが受けた援助が特別受益に該当するとしても、兄の寄与分はそんなに簡単に認められるのですか?」と質問しました。
弁護士は、「どのように寄与したのかという態様にもよりますが、寄与分といえるためには、①寄与行為の存在によって、被相続人の財産の維持又は増加があること、②寄与行為が『特別の』寄与といえることが必要です。
お兄さんは、事業に貢献してきてはいるもので①寄与行為の存在はあるかもしれませんが、代表取締役として正当な対価をこれまで得ているのですから、②『特別の』寄与であるとはいえず、現時点で分かっている内容からすれば、裁判所が寄与を簡単に認めるというような事案ではないと思います。」と回答しました。
弁護士は、Bさんの代理人として、弁護士の名前で、お兄さんのCさんに対して内容証明郵便を送付し、交渉を開始しました。
それに対して、Cさんは寄与分を定める審判を申立ててきました。しかしながら、裁判所は最終的にCさんの主張は認めませんでした。
また、弁護士がAさんの遺産について調査したところ、AさんはCさんに対し、生前に1500万円を贈与していたことが判明しました。
その結果、特別受益はそれぞれ1500万円ずつあるということで、特別受益について大きな争点とはならずに話し合いを進めることとなりました。
弁護士は、Cさんと遺産分割協議を行い、最終的にAさんの遺産のうち、預金をBさん、土地建物をCさんが譲り受けることで遺産分割協議を行うことができました。
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