高齢の母親のため家族信託で詐欺対策をした事案

  • cases841
  • 2024年01月25日更新
  • 生前対策
  • ■被相続人との関係 財産を受け取る方(子)
  • ■相続人 子(依頼者)
  • 相続財産 預貯金、その他

ご相談内容

ご相談内容

ご相談者のAさんは、高齢になり判断能力が低下した母親Bが、オレオレ詐欺や悪徳訪問販売などの被害に遭わないか心配しています。Aは、母親Bと離れて暮らしており、常時母親Bの面倒をみることはできません。

また、Aは事業を営んでおり、今は順調だが、先はどうなるかわからないため、自分自身に法的整理などの事態が発生しても、母親Bの生活に影響が出ないようにしたいと考えています。

そこでAは、母親Bの財産を自分が預かりつつ、自分の事業とは分けた形で母親Bの財産管理を行いたいと希望しています。


解決までの道のり

信託を活用した場合

このような場合にも、家族信託の活用が有効です。
母親Bが委託者兼受益者、Aが受託者となり、母親Bが所有する現預金その他の財産を、Aに信託します(母親BとAとの信託契約)。これにより現預金その他の財産の名義はAに移転します。

そうすると、預貯金その他の財産は母親Bの名義ではなくなるため、母親Bが騙されたとしても、母親Bが失う財産はないということになります。そして、Aは受託者として、母親Bに対して、受益権として、必要な生活費や医療費などを交付することにします。

任意後見制度を利用することも考えられますが、任意後見契約では、母親Bはなお自分の財産に対する管理処分権を有します。また、任意後見人たるAに取消権はないため、被害に遭ってからでは対応することができず、オレオレ詐欺対策としては不十分となります。

また、信託された財産は、受託者の所有に属するものの、受託者の固有の債権者は信託財産に強制執行等をすることはできず、受託者が破産しても破産財団に属しないので、受託者の債権者や受託者の倒産等の影響も受けません。

したがって、仮にAの事業が立ち行かなくなり、倒産処理がなされたとしても、母親Bから信託された財産には影響はないことになります。

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