不動産投資に関する損害賠償請求訴訟で勝訴した事例

  • CASE1133
  • 2024年08月22日更新
  • 法人
  • 損害賠償請求訴訟
  • 不動産

ご相談内容

当事務所の顧問先であるA社は、海外の不動産への投資に関するコンサルティング業務として、海外に所在する不動産物件への投資を希望する顧客に物件を紹介し、顧客が物件を購入する際の手続的なサポートを提供していました。

B社は、A社との間で海外の不動産に係る投資コンサルティング業務委託契約を締結し、A社のコンサルティングを得て海外の未竣工不動産を売り主である海外のC社から購入し、C社に対しその購入代金の半額を支払いました。ところが、物件の竣工前に当該物件の売り主であるC社が倒産し、不動産を竣工に至らせて買い主であるB社に引き渡すことができなくなったことから、B社は、A社に対し損害賠償請求訴訟を提起しました。

ベリーベストの対応とその結果

1.B社の主張
B社側は、遅くとも投資コンサルティング業務委託契約締結前に、A社側はB社代表者に対し、以下の義務を負っていたが、これらの義務に対する違反ないし不法行為があったと主張しました。

①投資対象物件には竣工の可否自体にリスクがあって、竣工の可否についてA社が責任を負うものではない旨を説明する義務
②A社は海外への投資行為に対する手続的な面でのサービスを提供するにすぎない旨を説明する義務
③投資対象物件の売り主の信頼性について実情に照らした正確な情報を提供する義務


2.B社の主張への対応
これらに対しては、まず、投資に係る諸々の説明は、B社がA社との間で投資コンサルティング業務委託契約を締結したことに基づきA社側からなされるものであり、B社がC社との間で投資物件の購入契約を締結する前になされていればよいものである旨を主張しました。

そして、上記1の①から③までの主張に対しては、次の主張立証を行いました。

①投資対象物件には竣工の可否自体にリスクがあって、竣工の可否についてA社が責任を負うものではない旨を説明する義務 について
B社によるC社との間での不動産購入契約締結前に、以下の対応をしていたことを主張しました。

・A社担当者は、B社代表者らに対し未竣工不動産が竣工に至らない場合があるリスクについて説明した。

・会社法制、倒産法制、不動産法制は国ごとに異なり、投資対象不動産の売買契約書も不動産所在国の弁護士団体が作成したひな形が用いられていることから、A社はB社に不動産所在国の弁護士を紹介した。B社は、当該弁護士と委任契約を締結して、当該弁護士から、投資対象物件に適用される不動産所在国法に沿って、不動産が竣工に至らない場合があり、その場合には投資資金が回収できないリスクがあること等を説明した書面の交付を受けるとともに、A社は当該書面にその日本語訳をつけてB社に送付していた。

②A社は海外への投資行為に対する手続的な面でのサービスを提供するにすぎない旨を説明する義務 について
A社とB社との間で締結された投資コンサルティング業務委託契約には、明文で以下の内容が記載されていました。

・A社が提供するコンサルティング業務の内容は、投資方針やクライテリアのアドバイス、投資対象候補の選定と物件視察のアレンジ、売買契約の締結・売買代金決済のサポート、不動産投資に関する相談(一般的なものに限られる。)であり、投資家の投資の成果や結果をいかなる意味においても保証するものではなく、投資家の希望を実現する結果責任を負うものではないこと

・日本国外にある不動産については日本の宅地建物取引業法の適用がなく、A社は、重要事項説明書の交付を含む同法で定められた法的義務をB社に対して負うものではないこと

・投資の結果として投資家に損害が発生したとしてもA社は投資家に対し 一切の責任を負うものではないこと。

③投資対象物件の売主売り主の信頼性について実情に照らした正確な情報を提供する義務 について
A社担当者が投資対象物件所在国に行き、投資対象物件の開発グループの代表者と面談し、同グループが手掛けた同種物件を見学するなどして、同グループの竣工実績を調査し、同グループが現地では大手であり、これまでに竣工できなかった物件がなかったこと等を確認していました。

3.結果
このような主張立証の結果、A社側に義務違反や不法行為があったとは認められないとされ、A社側全面勝訴に至りました。

全国の各オフィスから寄せられた解決事例をご紹介しております。(※ベリーベスト法律事務所全体の解決事例となっています)