20年近く勤めてきた会社から突然の解雇通告。パワハラに対する慰謝料は認められなかったものの、600万円の解決金を得て、約1か月で早期解決
- cases592
- 2020年06月12日更新
- 50代
- 女性
- 小売業
- 不当解雇
- パワーハラスメント
- 交渉
- ■職業(雇用形態) 正社員
- ■解決結果 交渉により、600万円の解決金を得た。ご依頼から約1か月で早期解決
ご相談に至った経緯
Aさんは、正社員として入社し、20年近く勤めてきた会社から突然、口頭で、30日後に解雇となる旨の通告を受けました。解雇理由は能力不足ということでした。
Aさんは、数か月後に定年退職する予定でした。Aさんは、数年前から配属部の上司から度重なるパワハラを受けておりました。
当該パワハラが原因で、Aさんは不眠症に陥り、産業医からは適応障害の診断を受けました。
Aさんは、いつでも会社に対して慰謝料請求できるように診断書などの証拠を揃えていましたが、定年退職までは事を荒立てずに耐えていました。
そんな中、Aさんは、突然、会社の上司に呼び出されて、1時間以上退職強要を受け、退職を拒否すると解雇を通告されました。
そのため、Aさんは、これまで受けてきたパワハラに対する慰謝料を会社に請求するとともに、解雇を撤回させるために、解雇通告を受けた翌日に、ベリーベスト法律事務所の無料法律相談に申込みをしました。
ご相談内容
Aさんは、入社してから解雇通告を受けるまでの詳細な経緯を弁護士に説明した後、会社に対してパワハラによる慰謝料請求と解雇の撤回を求めることが可能かどうかについて弁護士に相談しました。
これに対して、弁護士は、パワハラによる慰謝料請求をするためには、パワハラ行為を具体的かつ客観的に特定する必要があるため、この点についての証拠が揃っていないと裁判所に認めてもらうことは難しいかもしれないが、交渉段階ではある程度抽象的な内容であっても主張することは可能であることを回答しました。
また、弁護士は、解雇の撤回については、Aさんから受けた説明の内容からは解雇に合理的な理由があるとは判断できないため、不当解雇を争えば勝てる、つまり、解雇が撤回される可能性が比較的高いことを回答しました。
もっとも、解雇撤回を求めるとなると、会社も徹底的に争ってくる可能性があるため、早期解決を望むのであれば金銭解決も検討した方がよい旨、弁護士からAさんにアドバイスしたところ、Aさんも、パワハラを受けてきたこれまでの経緯を考えると、定年までの賃金を支払ってくれるのであれば、金銭解決でもよいとのことでした。
ベリーベストの対応とその結果
そのため、担当弁護士は、Aさんに対して、解雇の有効性を争いつつ、合わせてパワハラについても主張し、両者まとめて金銭での解決を求める方向で進めるのが良いのではないかとアドバイスしたところ、Aさんも当該方針に納得されました。
担当弁護士から会社に対して、解雇の撤回とパワハラによる慰謝料の支払いを求めたところ、会社の顧問弁護士から、解雇については通告しておらず、パワハラについては事実無根であるとの回答が戻ってきました。
Aさんにとっては解雇していないということであれば、解雇の撤回と同様に今後も勤務を継続できることになるのですが、Aさんとしては、解雇したのに解雇していないと主張するような会社では働きたくないということで、金銭解決の方向で交渉を進めてほしいと、弁護士に相談がありました。
そこで、担当弁護士から、相手方弁護士に対して、これまでパワハラを受けてきた経緯や今回の解雇通告に関する会社側の主張により、Aさんとしては会社に対する不信感を抱いているため、条件次第では退職に応じる旨を伝えました。
これに対して、会社としても、Aさんが円満に退職してくれるのであればということで、金銭解決の交渉が始まりました。
その後、連日にわたる交渉の結果、Aさんが納得する金額での退職が決まりました。
■解決のポイント
会社としては、解雇の有効性を争われれば勝てないとは分かりつつ、それでも解雇したい理由があり、当該解雇を維持するためにはそれなりの金額を支払う必要があることを理解していました。
また、Aさんとしては、解雇の有効性を争えば勝てるかもしれないけど、会社が徹底的に争えば時間がかかってしまうので、早期解決を望むのであれば金銭で解決した方がよいことを理解されていました。
そのため、解決にはどの程度の金額が必要かというのも自ずと分かり、弁護士間交渉がスムーズに進んだ結果、早期解決に至ったものと思います。
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