LSDで逮捕されたらどうする? 逮捕されるケースや家族ができることの対応を解説
- 薬物事件
- LSD
- 逮捕
![LSDで逮捕されたらどうする? 逮捕されるケースや家族ができることの対応を解説](/common_api/img/columns/col8947_thumb.jpg)
令和4年に千葉県成田市で発生した刑法犯は1040件で、薬物に関する犯罪が含まれる特別法犯は78件でした。
LSDの所持等が警察に発覚すると、逮捕される可能性が非常に高くなります。もし家族がLSDの所持等の疑いで逮捕されてしまったら、速やかに弁護士へご相談ください。
本記事では、LSDの所持等によって問われる可能性がある罪や、逮捕されるケース、逮捕された後の刑事手続きの流れなどをベリーベスト法律事務所 成田オフィスの弁護士が解説します。
![刑事弁護・少年事件を弁護士に相談](/common_api/branch/img/columns/bnr_criminal_pc.jpg)
![刑事弁護・少年事件を弁護士に相談](/common_api/branch/img/columns/bnr_criminal_sp.jpg)
1、LSDの所持等によって問われる可能性がある罪
「LSD」とは、合成麻薬である幻覚剤の一種です。「リゼルグ酸ジエチルアミド」「リゼルギン酸ジエチルアミド」「リゼルギド」などとも呼ばれます。
LSDは、脳などに対して強力な薬理効果を有しており、微量でも多幸感や興奮作用などの意識状態が生じます。また、使用量を増やすと強い幻覚作用が生じることでも知られています。
LSDの薬理効果は非常に強力であり、使用者が無謀な行動や自傷行為に走るケースが少なくないことから、麻薬及び向精神薬取締法(以下「法」といいます)における「麻薬」として規制されています(法別表第一第75号、麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令第1条第157号)。
LSDの所持等は犯罪に該当し、違反行為の類型によって下表の刑罰が科されます。
違反行為の類型 | 法定刑 |
---|---|
輸入・輸出・製造(法第65条第1項第1号、第2項) | 1年以上10年以下の懲役 ※営利目的の場合は、1年以上の有期懲役および500万円以下の罰金 |
製剤・小分け・譲渡・譲受・所持(法第66条第1項第1号、第2項) | 7年以下の懲役 ※営利目的の場合は、1年以上10年以下の懲役および300万円以下の罰金 |
輸入・輸出・製造の予備行為(法第67条) 輸入・輸出・製造の資金等を提供する行為(法第68条) |
5年以下の懲役 |
譲渡・譲受の周旋(法第68条の2) | 3年以下の懲役 |
LSDの所持等を海外で行った場合にも、国外犯に関する規定が適用され、処罰の対象となる点に注意が必要です(法第69条の6)。
2、LSDの所持等で逮捕されるケース
LSDの所持等が発覚して逮捕されるケースとしては、以下の例が挙げられます。
-
(1)尿検査でLSDの陽性反応が出た
街中で歩いている時や、運転中などに不審な挙動をしていると、警察官に呼び止められて職務質問を受けることがあります。
薬物使用の疑いがある場合は、任意の尿検査が求められることがあります。尿検査に応じて提出した尿からLSDの陽性反応が出た場合には、逮捕されてしまう可能性が高いです。
なお任意の尿検査を拒否しても、裁判官が強制採尿令状を発した場合には、強制的に尿を採取されてしまう可能性がある点にご注意ください。 -
(2)LSDの売人が逮捕され、芋づる式に購入者の捜査が行われた
警察は、LSDを含む違法薬物の売人の摘発に力を入れています。売人が摘発されると、その売人が持っていた顧客リストなどから購入者が芋づる式に発覚し、一挙に逮捕・起訴されることがあります。
自分がLSDの所持等を他人に話していなくても、売人経由で警察に発覚してしまうケースがあることを知っておきましょう。 -
(3)家宅捜索の際にLSDが発見された
窃盗や詐欺、傷害や暴行など別の犯罪の疑いで家宅捜索が行われた際に、その場所からLSDが発見されることがあります。LSDが発見されると、その場で現行犯逮捕される可能性が高いです。
これらの犯罪とLSDの所持等は、併合罪の関係となります(刑法第45条)。併合罪の場合、最長で最も重い罪について定めた刑の長期1.5倍の刑が科される可能性があるため要注意です。
3、LSDの所持等で逮捕された後の刑事手続きの流れ
LSDの所持等の疑いで警察官に逮捕された場合、その後の刑事手続きは以下の流れで進行します。
-
(1)逮捕・起訴前勾留、警察・検察による捜査
逮捕された被疑者に対しては、警察官による取調べが行われます。被疑者には黙秘権があるので、取調べに対して答えるかどうかは任意です。
逮捕から48時間以内に、警察官は検察官に対して事件と被疑者を送致します(刑事訴訟法第203条第1項)。
検察官は、被疑者に対して取調べを行います。その後、引き続き身柄を拘束する必要があると判断した場合には、被疑者を受け取ってから24時間以内(かつ逮捕から72時間以内)に、裁判官に対して勾留請求を行います(同法第205条第1項、第2項)。
裁判官は、勾留の理由(犯罪の嫌疑の他、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれ)および必要性があると判断した場合には、勾留状を発します。
勾留状が発せられた場合、被疑者の身柄拘束は起訴前勾留に切り替わり、さらに最長20日間身柄が拘束されます。勾留状が発せられなかった場合には、被疑者の身柄は解放されます。
警察と検察は、原則として起訴前勾留の期間が満了するまでに、LSDの所持等に関する犯罪捜査を完了します。勾留前に加えて、起訴前勾留へ移行した後も、警察官および検察官による取調べが複数回行われることが多いです。 -
(2)起訴・不起訴
検察官は、起訴前勾留の期間が満了するまでに、被疑者を起訴するかどうかを判断します。
嫌疑がない場合、または嫌疑が不十分な場合には不起訴処分となり、被疑者は釈放されます。
また、嫌疑が確実であっても、検察官の判断によって不起訴となるケースがあります(=起訴猶予)。
LSDの所持量が微量で営利目的がなく、悪質性が比較的小さいと判断される場合には、起訴猶予となる可能性もあるでしょう。
被疑者が起訴された場合には、呼称が「被告人」へと変わり、引き続き身柄が拘束されます(=起訴後勾留)。 -
(3)起訴後勾留・公判準備
起訴後勾留に移行した後は、裁判所に対して保釈の請求ができるようになります(刑事訴訟法第89条、第90条)。
保釈請求が認められた場合には、保釈保証金を預けることを条件として、被告人の身柄が一時的に解放されます。
起訴後勾留の期間においては、公判手続き(刑事裁判)の準備を整える必要があります。弁護人に相談しながら、罪を認めるかどうかの方針を決め、公判手続きにおいて主張する内容や提出する資料の検討と準備を行うことになります。 -
(4)公判手続き・判決
起訴後勾留に移行してからおおむね1~2か月程度が経過した段階で、裁判所の法廷において公判手続きが行われます。
公判手続きでは、検察官が被告人の犯罪事実を立証する責任を負います。すべての犯罪の成立要件が立証された場合に限り、被告人は有罪となります。
被告人の方針としては、罪を認めて情状酌量を求めるか、または罪を否認して争うかの2通りが考えられます。弁護人と相談しながら、どちらの方針を選ぶかを決めて公判手続きに臨みましょう。
情状酌量を求めるに当たっては、裁判所に謝罪文を提出したり、更生に取り組んでいることを示す資料を提出したりすることが考えられます。裁判所に提出する資料についても、弁護士の協力を得ながら準備を整えましょう。
4、家族がLSDの所持等で逮捕された場合にすべきこと
家族がLSDの所持等で逮捕された場合には、速やかに弁護士へ相談しましょう。また、保釈された後で更生施設に通わせるなど、再発防止に取り組むことも重要です。
-
(1)速やかに弁護士へ相談する
LSDの所持等が発見されると、逮捕・起訴されて有罪判決を受ける可能性が非常に高いです。
身柄拘束中の被疑者・被告人の精神的負担を緩和しつつ、重い刑罰を回避するためには、弁護士のサポートが欠かせません。
弁護士は刑事手続きの流れや見通しについて分かりやすくアドバイスします。また、被疑者・被告人と家族の窓口となって、本人の精神状態のケアなども行います。さらに、起訴前・起訴後を通じて弁護活動を行い、重い刑事処分を回避できるように尽力します。
家族がLSDの所持等で逮捕されてしまったときは、速やかに弁護士へご相談ください。 -
(2)再発防止策を講じる|更生施設の利用など
本人が再びLSDの所持等に手を染めることがないようにするためには、再発防止に向けた家族のサポートが必要不可欠です。
保釈などによって本人の身柄が解放されたら、更生施設を探して通わせるなど、二度とLSDを手にしないための取り組みをサポートしましょう。
違法薬物から本人の身を守ることのほか、裁判所にも更生に向けた取り組みが評価され、量刑の減軽や執行猶予につながることがあります。
お問い合わせください。
5、まとめ
LSDなどの違法薬物の所持等は、尿検査などを通じて発覚することがよくあります。LSDの所持等が捜査機関に発覚すると、逮捕・起訴されて有罪判決を受ける可能性が高いです。
もし家族がLSDの所持等で逮捕されてしまったら、刑事弁護について速やかに弁護士へ相談しましょう。早い段階から弁護士のサポートを受けることで、早期の身柄解放や重い刑事処分の回避につながる可能性が高まります。
ベリーベスト法律事務所は、刑事弁護に関するご相談を随時受け付けております。LSD・覚醒剤・大麻などの薬物犯罪に関する刑事事件(薬物事件)についても、経験豊富な弁護士が親身になって対応いたします。
家族がLSDの所持等の疑いで逮捕されてしまったら、辛い状況の本人を安心させつつ、早期の身柄解放を実現するため、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています