逮捕後の人生とは|生活や仕事への影響、逮捕後の流れを弁護士が解説
- その他
- 逮捕後の人生
千葉県警察が公表している犯罪統計に関する資料によると、2022年中に千葉県内で発生した刑法犯の認知件数は、3万2728件でした。そのうち、成田市内での認知件数は、775件でしたので、全体の約2.4%になります。
何らかの罪を犯してしまい、逃亡または証拠隠滅のおそれがある場合には、警察に逮捕される可能性があります。逮捕されてしまうと逮捕後の人生には、どのような影響が生じるのでしょうか。
今回は、逮捕後の人生に生じる影響や逮捕後の流れについて、ベリーベスト法律事務所 成田オフィスの弁護士が解説します。
1、逮捕後の人生にはどのような影響がある?
逮捕されてしまうとその後の人生にはどのような影響があるのでしょうか。
-
(1)逮捕歴があるだけでは人生への影響は少ない
結論からいえば逮捕歴があるだけでは、逮捕後の人生への影響はほとんどありません。
逮捕歴とは、逮捕された経験があることをいい、裁判で有罪となった場合の「前科」とは区別されます。そして、無罪推定の原則により、逮捕されたとしても有罪判決を言い渡されていない限りは罪を犯していないものとして扱われます。
そのため、逮捕歴があったとしても、罪を犯したことにはなりませんので、逮捕後の人生への影響は少ないといえるでしょう。 -
(2)逮捕され前科が付いた場合の影響とは?
逮捕されてその後の裁判で有罪となると、前科が付いてしまいます。逮捕歴とは異なり、前科が付いてしまうと以下のような悪影響が生じる可能性があります。
① 履歴書に前科を記載する必要がある
履歴書には、賞罰欄が設けられているものもあります。賞罰欄には、過去の前科を記載する必要がありますので、履歴書に前科を記載することで就職が難しくなる可能性があります。
② 海外渡航に制限が生じる
海外渡航をする際には、パスポートが必要になります。しかし、旅券法では、一定の前科がある場合にパスポートの発給を制限することができると定められていますので、前科があることでパスポートを取得できない可能性があります。
③ 一部の資格や職業に制限が生じる
前科が付くことで、一定の資格が停止されたり、特定の職業に就くことが制限されたりすることがあります。代表的なものとしては、医師、看護師、公務員、公認会計士、税理士、司法書士、生命保険募集人などが挙げられます。
2、逮捕後の人生で就職や仕事はどうなる?
逮捕後の人生で就職や仕事にはどのような影響が生じるのでしょうか。
-
(1)逮捕歴は履歴書に記載する必要はない
就職活動や転職活動をする際に必ず必要になるのが履歴書です。履歴書によっては賞罰欄が設けられているものがありますが、賞罰欄の「罰」として記載しなければならないのは、裁判で確定した有罪判決(前科)がある場合です。
逮捕歴は、前科にはあたりませんので、逮捕歴があったとしても履歴書に記載する必要はありません。そのため、逮捕歴により就職や転職に影響が生じることはほとんどありません。 -
(2)逮捕されたとしてもすぐに解雇される心配はない
すでに会社に就職し働いているという方は、「逮捕されたことで会社を解雇されてしまうのではないか?」と不安を感じている方もいるかもしれません。
しかし、逮捕されただけではまだ犯罪者ではありません。無罪推定の原則により、裁判で有罪とされるまでは、罪を犯していないものとして扱われますので、会社は、逮捕を理由に解雇することができないのです。
ただし、会社によっては、逮捕されたことを理由に解雇の手続きを進めてしまうこともありますので、そのような場合にはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。 -
(3)解雇理由によっては不当解雇の可能性もある
逮捕後起訴され有罪判決が言い渡されると、前科が付いてしまいます。逮捕歴とは異なり、前科になれば犯罪者であることが確定しますので、そのことを理由に会社から懲戒解雇をされる可能性があります。
しかし、前科があるからといって直ちに懲戒解雇が認められるわけではありません。仕事と関係ない私生活における犯罪であれば、企業秩序が乱されたとはいえませんので、解雇されたとしても不当解雇にあたる可能性があります。
3、逮捕された後の流れ
警察に逮捕された後は、以下のような流れで手続きが進んでいきます。
-
(1)逮捕・取り調べ
逮捕されると警察署内の留置施設で拘束されます。逮捕中は、警察による取り調べを受け、その内容が調書にまとめられます。逮捕には、時間制限があり、警察は48時間以内に被疑者の身柄を検察官に送致するか釈放するか判断しなければなりません。
なお、逮捕中は、たとえ家族であっても被疑者との面会は認められません。逮捕中に面会できるのは弁護士に限られます。 -
(2)検察官送致
警察から被疑者の身柄の送致を受けた検察官は、24時間以内に必要な取り調べを行い、被疑者の身柄拘束を継続するか(=勾留請求するか)の判断を行います。
勾留請求は、「犯罪の凶悪性」や「逃亡のおそれ」、「証拠隠滅の可能性」など、さまざまな視点から判断されます。身柄拘束の必要がないと判断されれば釈放となりますが、身柄拘束の必要性があれば、検察官は、裁判所に勾留請求を行います。 -
(3)勾留
裁判所が勾留を認めると、そこから原則として10日間の身柄拘束を受けることになります。
勾留には延長制度がありますので、勾留延長も認められると、さらに10日間の身柄拘束となり、合計で最長20日間の身柄拘束を受けることになります。
なお、逮捕から勾留に切り替わった時点から、被疑者との面会が可能になりますが、接見禁止命令が出ている場合には、弁護士以外との面会は制限されます。 -
(4)起訴または不起訴の判断
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に、起訴または不起訴の判断を行います。起訴後は、保釈請求が認められれば身柄拘束から釈放されます。
他方、不起訴処分となればその時点で身柄は解放され、前科が付くこともありません。そのためにも、勾留中の示談交渉や弁護活動が、非常に重要になります。また、もし起訴されてしまったとしても、スムーズな保釈や弁護につなげるため、早めに信頼できる弁護士に依頼することをおすすめします。
4、逮捕された場合に弁護士に相談すべき理由
逮捕後の人生への悪影響を少しでも軽減するために、逮捕された場合にはすぐに弁護士に相談することをおすすめします。
-
(1)被害者と交渉して、不当に重い罪にならないように対応してくれる
被害者がいる犯罪であれば、示談をすることで不当に重い罪を回避できる可能性が高くなります。
しかし、謝罪の気持ちがあったとしても、加害者が被害者に直接接触することを嫌悪するケースも多く、そもそも被害者の連絡先がわからないこともあります。
そのような場合には弁護士に示談交渉を任せることをおすすめします。弁護士が窓口となって被害者の対応をすることで、被害者も安心して交渉のテーブルにつくことができます。また、弁護士であれば捜査機関などを通じた連絡先の入手が期待できます。被害者の連絡先がわからなくても、示談交渉できる可能性が高くなるでしょう。 -
(2)勾留を防げる可能性がある
刑事事件はスピードが重要です。逮捕後、すぐに弁護士が活動を始めれば、その後の勾留を阻止できる可能性が高まります。
逮捕後は警察署や検察での取り調べで最長72時間、さらに勾留が認められてしまうと最長20日間の身柄拘束を受けることになります。長期間の身柄拘束は仕事や日常生活への影響を生じますので、早期に身柄を解放してもらうことが重要です。
弁護士は、被害者との示談交渉や捜査機関・裁判所への働きかけなどにより、早期の身柄解放を実現できるよう尽力します。まずは、早めに弁護士に相談するようにしましょう。 -
(3)不起訴処分の獲得により前科を回避できる
前科が付いてしまうとさまざまな悪影響が生じます。前科を回避するには、不起訴処分を獲得することが重要になりますが、検察官に起訴されてしまうと、90%以上の高い割合で有罪となるのが現状です。
不起訴処分の可能性を高めるためには、早期に弁護士に依頼することをおすすめします。検察官が起訴を判断するまでの勾留期間は最長20日です。この間の適切な弁護活動が、不起訴に影響を与えるといっても過言ではありません。逮捕後の人生への影響を最小限に抑えるためにも、まずは弁護士に相談しましょう。
5、まとめ
逮捕されても、不起訴となり前科が付かなければ逮捕後の人生に影響が生じることはほとんどありません。仮に逮捕を理由として会社を解雇されてしまったとしても、不当解雇の可能性がありますので、早めに弁護士に相談すれば、解雇を撤回してもらえる可能性もあります。
早期に弁護士に相談して、適切な弁護活動を行うことで前科を回避できる可能性が高くなります。逮捕されそうなトラブルを抱えている方、逮捕でお困りの方は、まずはベリーベスト法律事務所 成田オフィスまでお早めにご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
- |<
- 前
- 次
- >|