不倫(浮気)されてうつ病になったときの慰謝料請求の手順と注意点
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千葉県が公表している人口動態統計の概況によると、令和5年の千葉県内の離婚数は9153件で、離婚率(人口1000対)は1.51、前年の離婚率1.41より上昇傾向にあります。
離婚の原因のひとつに挙げられるのは配偶者の不倫(浮気)ですが、浮気された方が、精神的なストレスからうつ病を発症してしまうケースがあります。このような場合は、相手に慰謝料を請求できる可能性があります。
今回は、不倫(浮気)をされてうつ病になったときの慰謝料請求の手順と注意点について、ベリーベスト法律事務所 成田オフィスの弁護士が解説します。
1、不倫(浮気)されてうつ病になった場合の慰謝料請求
配偶者の不倫(浮気)によりうつ病になった場合、浮気相手に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。
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(1)不倫(浮気)によってうつ病を発症することもある
配偶者の不倫(浮気)による精神的ストレスにより、うつ病を発症してしまうことがあります。
うつ病の代表的な症状には、以下のようなものが挙げられます。- 悲しく憂鬱(ゆううつ)な気分が続く
- 何事にも興味がわかない
- 食欲が減る
- 夜になっても眠れない
- イライラして怒りっぽくなる
- 集中力がなくなる
- 死にたい、消えてしまいたいという気持ちになる
配偶者の不倫(浮気)をきっかけに上記のような症状があらわれた場合、うつ病の可能性もありますので、医療機関において医師の適切な診断を受けることが望ましいです。
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(2)浮気相手に慰謝料請求が可能
配偶者と浮気相手が不倫(浮気)をしていた場合、平穏な婚姻生活を送る権利が侵害されたことになりますので、不法行為に基づいて不倫をした配偶者および浮気相手に対して、慰謝料を請求することができます。
なお、配偶者と離婚をしなくても、浮気相手に慰謝料請求をすることができますが、その場合の慰謝料額は、夫婦が離婚をした場合に比べて低くなる傾向にあります。
2、うつ病の治療費と慰謝料を別々のものとして請求する方法
うつ病の治療費と慰謝料を別々のものとして浮気相手に請求することはできるのでしょうか。
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(1)不倫されたことが原因でうつ病と診断されたときは治療費と慰謝料を請求可能
浮気相手が配偶者と不倫(浮気)をした場合は、先ほど説明したとおり、不倫慰謝料を請求することができます。また、不倫(浮気)が原因でうつ病になり、病院への治療を余儀なくされた場合には、理論上は、不法行為が成立しますので、慰謝料とは別に治療費を請求することも可能といえます。
しかし、不倫(浮気)によりうつ病の治療費を請求するには、不倫(浮気)とうつ病との間に因果関係が認められなければなりません。
医師により「不貞行為がきっかけでうつ病を発症した」などの診断書があれば、因果関係を立証することができますが、そこまで明確にうつ病の発症原因を特定してくれることは少ないため、慰謝料と別に治療費を請求するのは難しいのが実情です。 -
(2)治療費ではなく慰謝料の増額事由として請求することも可能
慰謝料とは別に治療費を請求するのが難しいケースであっても、諦める必要はありません。
不倫によりうつ病を発症したという事情を慰謝料の増額事由として主張することで、一般的な相場よりも慰謝料を増額してもらえる可能性があります。
慰謝料が増額されれば、実質的には治療費込みの慰謝料といえますので、慰謝料と治療費を別々に請求した場合と同様の効果を実現することができます。
3、不倫(浮気)をきっかけとした慰謝料請求の方法
不倫(浮気)をきっかけとして浮気相手に慰謝料請求をする場合、以下のような方法で行います。
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(1)うつ病に関する診断書や治療費などの資料を集める
不倫されたことが原因でうつ病が発症した場合、不倫慰謝料の増額事由として主張することができます。まずは、うつ病に関する診断書を取得するようにしましょう。また、慰謝料と治療費を別々に請求するためには、治療費や薬代の支払いがわかる領収書が必要になりますので併せて保管しておきましょう。
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(2)不倫(浮気)の証拠を集める
不倫(浮気)を理由に慰謝料請求をするには、配偶者と浮気相手が不倫(浮気)をしていたという証拠が必要になります。不倫とは、原則として配偶者以外の異性との間で肉体関係を持つことをいいますので、配偶者と浮気相手が性行為を行っている状況を撮影した写真や動画が直接の証拠になります。
もっとも、このような証拠がなかったとしても、以下の証拠により不倫(浮気)を立証することも可能です。- 配偶者と浮気相手がラブホテルに入っているところの写真や動画
- 肉体関係をほのめかすような内容のメールやLINE
- 裸で抱き合っている写真
- 不倫を認める配偶者の会話録音
- 探偵事務所の調査報告書
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(3)慰謝料額を計算する
不倫慰謝料は、以下のような事情を考慮して、具体的な金額を決めていきます。
- 夫婦の婚姻期間
- 子どもの有無
- 不倫期間や不倫の回数、頻度
- 不倫により夫婦生活に与えた影響(離婚の有無)
- 不倫相手との間の子どもの有無
- 反省や謝罪の有無
- 不倫相手の経済力や社会的地位
不倫慰謝料の金額には、一定の相場がありますので、浮気相手に慰謝料請求をする際には、相場を踏まえた金額で請求することが重要です。不倫慰謝料の金額を正確に計算するには、法的知識や経験が必要になりますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
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(4)浮気相手と交渉する・示談書を作成する
不倫慰謝料額の計算ができたら、浮気相手に対して、慰謝料請求を行います。慰謝料請求の方法には、特に決まりはありませんが、やり方によっては相手方に対する名誉棄損等になり得る可能性もありますので、慎重に検討する必要があります。
浮気相手が不倫(浮気)を認め、慰謝料の支払いに応じる意思を示した場合は、合意内容をまとめた示談書を作成します。
なお、うつ病の状態で浮気相手と交渉をするのは、精神的ストレスが大きく病状を悪化させるおそれもありますので、弁護士に交渉を任せることをおすすめします。 -
(5)話し合いがまとまらない場合は裁判を検討する
浮気相手との話し合いがまとまらないときは、交渉を続けても解決は困難ですので、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。訴訟は、法的主張を書面化してやり取りを行っていくことになりますが、その手続きも多少煩雑なため、専門家である弁護士に依頼するのをおすすめします。
お問い合わせください。
4、不倫(浮気)をきっかけに離婚を考えたときに知っておくべきこと
以下では、不倫(浮気)をきっかけに離婚を考えたときに知っておくべきことを説明します。
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(1)財産分与・親権・養育費などの離婚条件
配偶者と離婚する際には、不倫慰謝料以外にも「財産分与」や子供がいる場合には「親権」「養育費」などについて決めなければなりません。適正な条件で離婚をするには、弁護士のサポートが重要になります。
配偶者との離婚を考えたときは、早めに弁護士に相談するのが得策です。早めに弁護士に相談をすれば、証拠収集など、有利な条件で離婚するための準備についてアドバイスを受けられます。 -
(2)離婚後の住まいの確保
離婚後は、夫婦は別々に生活することになりますので、自宅を出ていく予定の方は、離婚後の住まいを確保しなければなりません。
離婚後の住まいが確保できていない状態だと、安心して離婚の話し合いを進めることができません。そのため、離婚を切り出す前にある程度、離婚後の住まいの目途を立てておくとよいでしょう。 -
(3)離婚後の生計の確保
専業主婦だった方は、離婚後は自ら働いて生活費を稼がなければなりません。希望する条件で働くところを見つけるためにも、離婚後の住まいと同様に相手に離婚を切り出す前から行動することが大切です。
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(4)調停や裁判に備えて弁護士に相談
離婚は、まずは相手との話し合いによって行いますが、相手との話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停の申立てや離婚訴訟の提起が必要になります。
調停や訴訟といった法的手続きに対応する場合にも、事前に弁護士に相談してサポートを受けるとよいでしょう。
5、まとめ
配偶者に浮気された場合、浮気相手に対して慰謝料を請求することができます。また、浮気によりうつ病を発症した場合、そのことを理由に慰謝料の金額を増額できる可能性があります。
ただし、慰謝料の相場はケース・バイ・ケースです。適切な額を請求し、しっかり獲得するためにも信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所には離婚問題の解決実績がある弁護士が多数在籍しています。配偶者の浮気でうつ病になってしまい、離婚や慰謝料請求をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 成田オフィスまでご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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