退職代行の失敗例と原因は? リスクと回避方法を弁護士が解説

2026年01月05日
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退職代行の失敗例と原因は? リスクと回避方法を弁護士が解説

退職代行は、退職したい当人に代わって、会社に退職の意思表示を行うサービスです。

しかし、令和7年10月、大手の退職代行会社に弁護士法違反の疑いがあるとして大規模な家宅捜索が入りました。こうしたトラブルを避けるためには、法律上のルールを把握したうえで慎重に退職準備を進めていかなければなりません。

今回の記事では、退職代行会社の失敗例から見る注意点、退職のルールや退職代行の失敗例・注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 成田オフィスの弁護士が解説します。


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1、そもそも退職にまつわる法律のルールってどうなっているの?

そもそも、退職にかかわる法律上のルールはどのように決められているのでしょうか?
以下では、法律上の退職ルールや企業ごとの就業規則の定めについて解説していきます。

  1. (1)本来であれば2週間前に申し出れば退職できる

    労働者側の希望で退職する場合、本来であれば2週間前に辞めることを伝えていれば退職できます。民法では、雇用の解約の申入れについて以下のように定めているためです。

    (期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
    第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。


    したがって、2週間前に退職の意思を伝えておけば、会社の同意がなくても法律上の問題はありません

    ただし、上記の民法の規定が適用されるのは、正社員などの「雇用期間の定めのない雇用形態」に限られるため注意が必要です

  2. (2)就業規則で2週間以上の期間を定めている場合もある

    一方で、会社の就業規則に「退職は1か月前までに申請すること」などと定められている場合もあります。

    合理的な期間であれば、民法よりも就業規則のルールが優先される考え方もあるため注意が必要です。不要なトラブルを避けたい場合には、就業規則の定めに従ったほうがよいといえます

    しかし、合理的ではないほど長期間の制限を設けている場合、それを理由に従業員からの退職希望を拒否することは違法になり得ます。

2、退職代行の失敗例から見る注意点

退職代行を使えば確実に辞められると思われがちですが、実際には退職できなかったり、退職を引き延ばされたりするケースもゼロではありません

退職代行に失敗すると、「退職できずに出社を求められる」「トラブルが悪化し損害賠償を請求される」などのおそれがあります。

以下では、ありがちな退職代行の失敗例と注意点を確認していきましょう。

  1. (1)会社に無視された

    退職代行の失敗例のひとつが、「会社に無視された」というパターンです。退職代行からの連絡を無視されたり、退職届を受け取ってもらえなかったりする場合があります。

    法律上では退職可能であっても、実際に会社に退職手続きを進めてもらえなければ退職後の活動に支障をきたしてしまいます。

    退職代行サービスによる交渉が難航している場合には、別の機関への相談も検討しましょう。

  2. (2)内容が伝わっていなかった

    退職代行を通じて会社に退職条件を伝えたつもりでも、伝言ミスなどによって内容が抜け落ちていたという失敗例もあります。

    たとえば、「今月末で退職したい」という希望が伝わっておらず、退職日をめぐってトラブルになるケースなどです。

    対応実績の少ない業者や確認プロセスが甘い業者を選んだ場合には、このような伝達不備によるトラブルのリスクが高まります。

  3. (3)非弁業者では対応できないことが発生した

    非弁業者では対応できないことが発生したケースも、退職代行でありがちなトラブルです。非弁業者とは、弁護士資格をもたない業者を指します。

    弁護士ではない非弁業者は、有給消化や未払い残業代の請求など、退職条件に関する代理交渉は行えません。これは「非弁行為」と呼ばれ、弁護士法に違反する行為であるためです。

    そのため、退職をめぐって会社と交渉が必要になった場合、非弁業者では何も対応できなくなってしまいます。

  4. (4)退職日を引き延ばされた

    退職代行から会社に退職の通知が送られた後に、業務の引き継ぎや人手不足などを理由に退職日を引き延ばされる失敗例もあります。

    とくに、就業規則の規定を守らずに退職希望を伝えてしまうと、それを根拠に会社側が強硬な姿勢をとる可能性もあるでしょう。

    弁護士であれば法的根拠に基づいた交渉が可能ですが、一般的な退職代行業者にはその対応力がありません。結果として想定よりも長く働かされ、精神的負担が増えるリスクがあります。

  5. (5)退職代行を利用したことを理由に懲戒解雇された

    退職代行を利用したことを理由に、懲戒解雇を通知されるケースもあります。たとえば、会社側が「無断欠勤」「業務放棄」などとみなし、重い処分を下すような場合です。

    本来、退職の意思表示は自由であり、退職代行を利用したことだけを理由に懲戒解雇をすることは認められません。

    しかし、非弁業者では懲戒解雇の有効性を争えません。会社から懲戒解雇すると言われた場合は、弁護士に相談し、法的に適切な対応をとることをおすすめします。

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3、退職に関する相談窓口はいろいろあるが、弁護士がおすすめ

退職に関する相談ができるのは、実は退職代行会社だけではありません。退職代行会社のほかにも、労働組合・労働基準監督署・弁護士など、それぞれ異なる役割をもつ相談窓口があります。

退職トラブルも含めて相談したい場合には、弁護士に相談することがおすすめです。以下では、退職代行会社を含めた代表的な4つの相談先の特徴を具体的に見ていきましょう。

  1. (1)労働組合

    労働組合は、労働条件・職場環境の維持や改善などを目的として、労働者が自主的に組織する団体です。職場での悩みやトラブルなど、幅広い相談に無料で対応しています

    労働組合に相談すると、内容によっては会社に対して「団体交渉」を行ってくれる場合があります。労働組合には団体交渉を行う権利が認められており、会社側は正当な理由なく拒否することはできません。

    ただし、団体交渉をしたとしても、労働者側の希望に沿った結果になるとは限らない点に注意が必要です。

  2. (2)労働基準監督署

    労働基準監督署は、管轄範囲の会社が労働関連法を遵守しているかどうかを監督する機関です。

    残業代の未払い・長時間労働・解雇など法令違反の疑いがある行為について、無料で相談できます。相談の結果、労働基準法違反などが認められれば、調査や会社に対する是正指導が行われます。

    しかし、労働基準監督署の指導は行政指導であり、直ちに法的な強制力を伴うものではないため、問題が解決しないケースもある点はデメリットといえるでしょう。

  3. (3)退職代行会社

    退職代行会社は、退職者の代わりに退職の意思を会社に伝えてくれるサービスを提供しています。依頼にかかる料金も比較的安価で、「退職したいけど言い出しにくい」と悩んだときに相談しやすい窓口です。

    しかし、退職代行会社は弁護士ではないため、基本的に退職条件や懲戒処分の交渉といった法的な対応はできません。スムーズに退職が進むケースでは有効ですが、トラブルが予想される職場には不向きといえます。

  4. (4)弁護士

    退職に関する相談窓口としておすすめなのが、弁護士です。弁護士であれば、退職の意思表示だけでなく、会社との交渉や法的トラブルもすべて含めて対応可能です。

    弁護士に依頼するメリット 手間やストレスを減らせる!:面倒な手続きや会社側との交渉を自分の代わりに、ほぼ全て任せることが可能 会社から支払われる金額が多くなるかも!:残業代・和解金・慰謝料等が多く得られる可能性がある 弁護士のサポートで、交渉から手続きまで安心!:解決策がみつかる 証拠資料を法的に判断 証拠がない場合、集め方をアドバイス 会社はいい加減な対応ができなくなる 弁護士が代理人として会社と交渉 労働審判、訴訟(裁判)をサポート

    会社との連絡も弁護士が代理で行うため、精神的な負担を最小限に抑えられます。また、会社側が退職を拒否したり、不当な要求をしてきたりする場合にも、適切な法的主張によって問題を解決に導けます。

    依頼する際に弁護士費用がかかるのはデメリットですが、確実かつ安全に退職したい方にとっては有効な選択肢となるでしょう

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4、失敗しない! 弁護士に退職問題を相談するときのポイントとは

弁護士に退職問題を相談する際には、事前準備が大切です。以下では、退職時にやっておくべきことと弁護士相談時の流れ・持ち物について解説していきます。

  1. (1)退職時に自分で行うべきこと

    弁護士に依頼すれば会社との連絡や交渉は任せられますが、自分自身で対応しなければならない手続きや確認事項もあります

    以下のような点は、事前に対応しておくことが望ましいです。

    【退職前にやっておくべきこと】
    • 会社から借りているものの返却方法を確認する
    • 社宅や寮を利用している場合は退去を計画する
    • 有給休暇の残日数を確認しておく
    • 就業規則で退職金に関する取り決めを確認する
    • 会社に置いている私物を整理する


    これらの準備を進めておけば、退職手続きをスムーズに進めやすくなるでしょう。

  2. (2)弁護士に相談するときの流れと持ち物

    弁護士への退職相談は、一般的に次のような流れで進みます。

    【弁護士への退職相談の流れ】
    • ① 電話やメールによる問い合わせ
    • ② 初回相談
    • ③ 正式な依頼契約の締結
    • ④ 弁護士が対応を開始


    相談時の持ち物や準備しておくとよい資料・情報は、以下のとおりです。

    【準備しておくとよい資料・情報】
    • 雇用契約書や就業規則
    • 数か月分の給与明細
    • 有給休暇の残日数がわかる資料
    • メール・LINE・録音など会社とのやり取りの記録
    • 退職希望日と希望する退職条件


    これらの資料が揃っていると、弁護士が正確な状況把握と判断を行いやすくなります。相談したい内容に合わせて、必要な情報を整理しておきましょう

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5、まとめ

退職代行は便利なサービスですが、トラブルに発展するケースや、会社側が対応を拒否するケースもあります。弁護士資格をもたない民間業者では、対応できる範囲に限りがあるのが実情です。

だからこそ、弁護士が行う安全性・信頼性の高い退職サポートを受けることが重要です。ベリーベスト法律事務所の退職サポートは、法的トラブルや未払い残業代請求にも対応可能です。退職を成功させ、精神的な安心を得るための、心強い選択肢となるでしょう。

退職代行の失敗に不安がある場合は、ぜひベリーベスト法律事務所 成田オフィスの弁護士にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています