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みなし残業代制の強制残業は違法? 対処法や弁護士に相談するメリット

2025年04月23日
  • 残業代請求
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みなし残業代制の強制残業は違法? 対処法や弁護士に相談するメリット

みなし残業代制とは、あらかじめ一定時間分の残業代を含めて賃金を支払う制度で、多くの企業で採用されています。みなし残業代制が採用されている場合、一定時間分の残業が義務であると考え、会社からの残業命令を断れずにいる方も少なくありません。

しかし、みなし残業代制であっても正当な理由のない残業を強制されることは違法になります。こうした残業命令は断ることができます。また、未払い残業代が発生しているケースもあります。

今回は、みなし残業代制の強制残業の違法性や違法な残業強制をされたときの対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 成田オフィスの弁護士が解説します。


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1、みなし残業代制であっても正当な理由のない強制残業は違法

みなし残業代制とは、どのような制度なのでしょうか。以下では、みなし残業代制の概要と強制残業の違法性について説明します。

  1. (1)みなし残業代制とは

    みなし残業代制とは、あらかじめ一定時間分の残業代を含めて給料が支払われる制度です。みなし残業代制は、「固定残業代制」や「定額残業代制」と呼ばれることもあります。

    実際に残業をしなかったとしても、一定時間分の残業代が支払われるため、労働者にとってメリットのある制度といえるでしょう。また、会社としても給与計算の事務手続きが簡略化されるといったメリットがありますので、多くの会社でみなし残業代制が導入されています。

  2. (2)みなし残業代制でも正当な理由のない残業の強制は違法

    みなし残業代制では、あらかじめ一定時間分の残業が想定されていますので、会社から残業を強制されても断ることができないと考える方もいます。

    しかし、みなし残業代制であっても残業命令に正当な理由がなければ残業を拒否することもできます。

    残業命令が違法になるのは、以下のようなケースが挙げられます。

    • 業務上の必要性がない
    • 雇用契約や就業規則に残業命令の根拠がない
    • 36協定の締結、届出がない
    • 残業できないことについて正当な理由がある(体調不良、育児・介護、妊娠・出産など)
    • 残業時間が法律上の上限を超えている


2、みなし残業代以外に一切残業代が支払われない場合の対処法

みなし残業代制を採用している会社では、みなし残業代以外には一切残業代を支払わないという扱いをしているところもあります。しかし、みなし残業時間を上回る残業をしたときは、会社には別途残業代を支払う義務が発生します。その様な場合、以下のような対処法を検討しましょう。

  1. (1)労働時間の実態を把握する

    まずは、実際にどの程度の時間、労働をしたのかを把握することが重要になります。

    本来は、会社側で労働時間を管理しなければなりませんが、違法な残業強制をするような会社では労務管理もずさんであるケースも少なくありません。

    タイムカードや勤怠管理データだけでは、労働時間の実態を把握できない場合は、パソコンのログイン・ログアウト時間などをメモし、自身で労働時間の証拠を残しておくようにしましょう。

  2. (2)労働基準監督署に相談する

    違法な残業強制があったときは、労働基準監督署に相談することも有効な手段といえます。労働者個人での訴えでは、会社が誠実に対応してくれないこともあるからです。

    労働基準監督署とは、企業が労働基準法などの法令に違反しないよう取り締まりを行う機関で、労働者からの相談について無料で対応しています。違法な残業強制の疑いがある事案であれば、会社への立ち入り調査を行い、違反が明らかになったときは指導や是正勧告などを行ってくれますので、違法状態の改善が期待できます。

  3. (3)未払い残業代の請求を検討する

    違法な残業強制により残業代の未払いがあることが判明したときは、会社への未払い残業代請求を検討しましょう。残業をしたことに対して残業代を請求するのは、労働者として当然の権利ですので、しっかりと請求していくことが大切です。

    なお、残業代請求には、3年という時効がありますので、未払い残業代の存在が明らかになったときは、すぐに残業代請求にとりかかるようにしましょう。

    会社との交渉や手続き、そもそも何から始めるべきか不安な場合、まずは労働問題の実績がある弁護士に相談することをおすすめします

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3、会社に未払い残業代を請求する方法

会社に未払い残業代を請求する場合、以下のような方法で行います。

  1. (1)証拠の収集

    未払い残業代の請求をする際に重要になるのが証拠です。

    残業代の未払いは、請求者である労働者が立証していかなければなりません。証拠がなければ会社に未払い残業代を支払ってもらうのは困難です。

    そのため、まずは以下のような証拠を集めてください(一例です)。

    • タイムカード
    • 勤怠管理ソフトのデータ
    • 業務日報
    • パソコンのログ記録
    • オフィスの入退室記録
    • 交通系ICカードの記録
    • 業務で使用したメールの送受信履歴


  2. (2)内容証明郵便の送付

    未払い残業代に関する証拠が集まったら、証拠に基づいて未払い残業代の金額を計算し、会社に対して残業代請求を行います。

    残業代請求をする際には、内容証明郵便を利用するのが一般的です。

    内容証明郵便とは、

    • 文書の内容
    • 文書の送付日
    • 送付元と送付先

    などを記録できる、郵便局の有料サービスです。

    内容証明郵便自体には、未払い残業代の支払いを強制する効果まではありませんが、残業代請求をしたという証拠を残すことができます。これにより、時効の完成を6か月間猶予することができるため(民法第150条)、その間に交渉や労働審判・訴訟の準備を進めていくことができます。

  3. (3)会社との交渉

    残業代請求は、まず上記書面を送付後、会社と交渉を行うのが一般的です。

    交渉では、会社側から資料開示を求めつつ、こちらから残業代計算の根拠資料を提示するなどしたうえで、話し合いを行いながら、解決を目指していきます。

    なお、会社と未払い残業代の支払いについて合意ができたときは、口頭での合意で終わらせるのではなく、必ず合意書などの書面を作成することが重要です。

  4. (4)労働審判、訴訟

    会社との交渉が合意に至らなかったときは、労働審判や訴訟といった法的手続きに進みます。

    労働審判とは、未払い残業代などの労働問題が生じたときに、実情に即して、迅速かつ実効的に解決することができる裁判所の紛争解決手段です。まずは、当事者同士の話し合いによる調停による解決が試みられ、それが難しい場合に労働審判が行われます。労働審判の手続きは、原則3回以内の期日で終了しますので、迅速な解決が期待できます。

    労働審判の利用は義務ではありませんが、裁判に比べて迅速な解決が期待できますので、事案の内容に応じて、訴訟提起前に利用を検討してみるとよいでしょう。

    労働審判でも解決できないときは、最終的に裁判所に訴訟を提起して解決を図ることになります。

4、みなし残業代制での未払い残業代の請求は弁護士に相談を

みなし残業代制での未払い残業代請求をお考えの方は、弁護士に相談することをおすすめします

  1. (1)未払い残業代を正確に計算してもらえる

    みなし残業代制度が採用されている場合の未払い残業代の計算は、複雑になりがちで、正確な計算は困難です。残業代計算を誤ると、本来もらえる残業代がもらえなくなってしまうリスクがあるため注意が必要です。

    弁護士に依頼し、残業代の算出を任せることで、迅速かつ正確に未払い残業代の金額を明らかにすることができます。

  2. (2)証拠収集についてアドバイスを受けられる

    未払い残業代を請求するには、それを裏付ける証拠が重要になります。しかし、残業代請求に必要になる証拠は、事案によってさまざまですので、何をどうやって集めるべきか迷う方も多いでしょう。

    弁護士に依頼すれば、残業代請求に必要になる証拠収集のアドバイスやサポートを受けられますので、事案に応じた適切な証拠を確保できる可能性が高くなります。

  3. (3)会社との交渉を任せられる

    労働者個人では、残業代請求をしてもスムーズに進まない可能性がありますので、会社との交渉は弁護士に任せるのがおすすめです。

    弁護士が労働者の代わりに交渉をすることで、法的な観点から適切な主張が可能となり、解決に至る可能性が高くなります。また、交渉が不調となったときも、引き続き労働審判や訴訟の対応を任せられるため、安心して手続きを進められるというメリットもあります。

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5、まとめ

みなし残業代制であっても、無制限な残業や労働基準法を逸脱した命令は違法です。違法な残業強制をされたときは、労働基準監督署などへ相談することも検討しましょう。

また、みなし残業代制の下でも、実際の労働時間がみなし時間を超える場合、超過分の残業代を請求する権利があります。会社に対する未払い残業代の請求を検討している場合は、弁護士のアドバイスやサポートが重要です。まずはベリーベスト法律事務所 成田オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています